太陽と猿

4
3

山奥の村に、一匹の不思議な猿が住んでいました。普段は太陽の下で木に登り、川で遊び、のんびりと楽しく過ごしていましたが、台風が近づく夜になると、雲の中へ跳び上がり、稲妻を操るのです。最初、村人はとても恐れましたが、やがて「猿のおかげで田畑が守られている」と信じ、供物を供える様になりました。

ある年、かつてない大きな台風が村を襲いました。空は夜のように一気に暗くなり、風は木々を薙ぎ倒します。猿は必死に雷を放ちましたが、暴風に吹き飛ばされそうになります。そのとき雲の切れ間から太陽が顔を出し、眩しい程の黄金の光で猿を照らしました。それはまるで猿を励ますかの様でした。

猿は最後の力を振り絞り、びっくりするような稲妻を放ちます。轟音とともに嵐は静まり、翌朝には大きな虹が空に架かっていました。村人たちは笑い合い、「太陽と雷の猿は友達なんだ」と語り、嵐の夜を恐れるより、希望を抱くようになったのです。
ファンタジー
公開:25/10/09 13:25
更新:25/10/09 13:56

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容