ハッキングされたビール

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「ビール会社がハッキングされたんだと」
乾杯早々に飲み干した友人はおかわりを注文する。
「なんでビールなんだ」私は枝豆をつまむ。
「おい、悠長に食ってる場合じゃねえぞ。今飲んどかないともう飲めなくなるかもしれねえ」
「いや、一時的に品薄になってもすぐに復旧するでしょ」
「お前、何も分かってねえな。ハッキングっつてもだな…あ、お姉さんビールおかわり」
気がつけば周りの客も競うように次々にビールを注文している。ジョッキを2つ持った店長が申し訳なさそうに来た。
「すまん品切れだ。ちなみに入荷はしてみたんだが…」
「ハッキング後のやつか」友人は一口飲んでみてうなだれる。だろ、と店長。私も一口飲んでみる。
コクコク…あれ
「このヒールなんか物足りないよ。…あれ」
「犯人は我々からヒールにまつわる濁音を消したんだ」と店長。

「まさかヒールサーハーが標的だったとはな…」友人は残りをクヒクヒ飲み干した。
SF
公開:25/10/08 11:15

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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