ビールな戦い

ビア王国はビア国王が統治する国。その名のごとく、ビールを愛する国王と民が、貧しくとも幸せに暮らしていた。ところが時代は変わった。ネット社会が豊かな外国の暮らしを国民に知らしめ、国民は豊かさを求めて次々と他国への移住を始めた。ビア国王は政策の転換を決断した。門外不出のとびきりのこの国のビールを世界に流通させることを。このビールは幻の魔法ビールとして世界中で空前の人気になった。同時にこのビールに夢中になった各国の為政者たちは、ビール欲しさにビア国王の言うがままになり、自国の政治を怠るようになる。こうしてビア国王は、戦争という手段をとることなく次々と領土を拡大し、世界を我がものにした。世界は一つのビア帝国となり、やがてビア・アースと名のるまでになった。ビールを飲み干すグビグビ、が人々のあいさつになり、喜びの声はプハーッに。ビール語が世界の共通語だ。魔法ビールの勢いをもう誰も止められない。