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 一日中雨だった。時雨や霧雨などではなく、バケツをひっくり返したようなザーザー降りの雨。
 雨宮まことは、こういった日は一日中、窓から外を眺めていることがあった。絵師が描いた線のような雨をただ眺めていた。ときにコーヒーや酒を片手に。ときに彼女の真美と共に、ベッドのそばの窓から雨を眺めていた。しかし、真美はすぐに飽きて、たわいもない話を始めるのが常だった。
 雨宮は待っていた。同じような雨の日に、傘も差さずに家を出ていった母親のことを。大人になった今も、変わらず待っていた。
その他
公開:25/10/04 19:01
更新:25/10/04 19:04

よたろー

なまけ癖を克服するために、毎日物語を投稿しています。読んでいただけたら幸いです。

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