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「暖色ってどうして美味しそうに見えるんだろう」
グラスを当て、それから泡と麦の風味を味わう。
「確かに、この薄いお肉も赤。人は温かく見えるものが好き」
「温かく見えるけど、どっちも冷たい方が美味しいや」
「そうね」
視線の端に翻ったヒレが写る。
「水槽は冷たいし青い」
「でも、あのベタにはちゃんと血が通ってて、体の奥底は温かく燃えているでしょうね」
立ち上がり、微小な酩酊を感じる。いや、ただ高揚しているだけか。
「少し時間がかかるよ」
「えぇ」
スープをかき混ぜながら、只一人を覗いて誰も居ない客席を見た。
黄金色の気泡がポツポツと溶ける様を想像する。
「出来たよ」
まだ気泡は残っていた。それが妙に喜ばしい。
「贅沢」
「え?」
「さっきまで居たお客達よりもずっと」
「遅くなってしまったけどね」
「賑やかよりもずっと良い。静かで、この席だけ暖かい」
急いで流し込んだビールで胸が熱くなった。
グラスを当て、それから泡と麦の風味を味わう。
「確かに、この薄いお肉も赤。人は温かく見えるものが好き」
「温かく見えるけど、どっちも冷たい方が美味しいや」
「そうね」
視線の端に翻ったヒレが写る。
「水槽は冷たいし青い」
「でも、あのベタにはちゃんと血が通ってて、体の奥底は温かく燃えているでしょうね」
立ち上がり、微小な酩酊を感じる。いや、ただ高揚しているだけか。
「少し時間がかかるよ」
「えぇ」
スープをかき混ぜながら、只一人を覗いて誰も居ない客席を見た。
黄金色の気泡がポツポツと溶ける様を想像する。
「出来たよ」
まだ気泡は残っていた。それが妙に喜ばしい。
「贅沢」
「え?」
「さっきまで居たお客達よりもずっと」
「遅くなってしまったけどね」
「賑やかよりもずっと良い。静かで、この席だけ暖かい」
急いで流し込んだビールで胸が熱くなった。
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公開:25/10/04 00:55
更新:25/10/05 01:18
更新:25/10/05 01:18
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