陶酔
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一枚の風景画が僕を呼び止めた。その絵はどうだと言わんばかりの顔をしている。月に照らされた竹林の絵。背景の色の濃淡と、雑草のそよぎから、心地よい風が吹いているのがわかった。
僕はその場に立ち尽くした。すると、澄んだ空気を裂くように虫の音が聞こえてきた。リーンリーンコロコロキリキリ。それらは曇りない高音で混じりあい、あたりをすっかり埋め尽くす。頬を撫でるそよ風に、闇夜とは別の青い香り。僕はすっかりその絵の中にいた。
「綺麗な絵ね」
「そうだね。平凡だけど、月の光の当て方とかはいいね」
横から突然カップルの会話が聞こえてきて、僕はあっという間に美術館に戻された。二人は数秒その絵を見ると、すぐに次の絵へと向かって行った。僕はもう一度絵を見る。すると、さっきとは違う絵がそこにはあった。
僕はその場に立ち尽くした。すると、澄んだ空気を裂くように虫の音が聞こえてきた。リーンリーンコロコロキリキリ。それらは曇りない高音で混じりあい、あたりをすっかり埋め尽くす。頬を撫でるそよ風に、闇夜とは別の青い香り。僕はすっかりその絵の中にいた。
「綺麗な絵ね」
「そうだね。平凡だけど、月の光の当て方とかはいいね」
横から突然カップルの会話が聞こえてきて、僕はあっという間に美術館に戻された。二人は数秒その絵を見ると、すぐに次の絵へと向かって行った。僕はもう一度絵を見る。すると、さっきとは違う絵がそこにはあった。
その他
公開:25/10/03 21:36
なまけ癖を克服するために、毎日物語を投稿しています。読んでいただけたら幸いです。
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