名画でショート079『小椅子の聖母』(ラファエロ・サンティ)

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完璧な円だった。
15世紀末から16世紀初頭という限られた時期に、フィレンチェで流行した「トンド」と呼ばれる大型円形絵画。
体を丸く曲げた聖母は、丸々とした幼いキリストを描き、さらに丸を補強するかのように天使が配置される。
聖母は眼も腕もポーズもすべて丸。キリストの手も足も、丸のつらなりのよう。それでも、この上なく美しい。
ラファエルロは僅か37歳で世を去った。この短い人生に、トンドの流行が重なったという奇跡でこの絵が生まれた。
全ては偶然の産物。必然に繋がる、偶然。
その他
公開:25/10/03 21:05
更新:25/10/03 21:07

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