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秋の夜、澄んだ空に中秋の名月が昇った。月の上では、うさぎが静かに餅を搗いていた。すると下界から、ゆっくりと亀が山に登ってくる姿が見えた。
「どうしてそんなに急いでいるのですか?」と月から声がした。亀は驚きつつも答えた。
「私は月に行きたいのです。あの光の中で眠れば、永遠に夢を見られると聞きました。」
うさぎはしばし考え、餅を搗く杵を止めました。
「夢は月の中にあるのではなく、心の中にあるのです。けれどあなたの歩みが真実なら、月も道を開く事でしょう。」
その言葉と同時に、月明かりが一筋の橋となって山頂へと伸びた。亀はゆっくりとその光の橋を渡り、やがて消えていった。
翌朝、人々が山に登ると、岩の上に餅のように白く輝く甲羅の欠片が落ちていたという。秋の名月が照らす夜には、今もその亀の影が月面に寄り添い、餅を搗くうさぎと語り合っていると伝えられているのである。
「どうしてそんなに急いでいるのですか?」と月から声がした。亀は驚きつつも答えた。
「私は月に行きたいのです。あの光の中で眠れば、永遠に夢を見られると聞きました。」
うさぎはしばし考え、餅を搗く杵を止めました。
「夢は月の中にあるのではなく、心の中にあるのです。けれどあなたの歩みが真実なら、月も道を開く事でしょう。」
その言葉と同時に、月明かりが一筋の橋となって山頂へと伸びた。亀はゆっくりとその光の橋を渡り、やがて消えていった。
翌朝、人々が山に登ると、岩の上に餅のように白く輝く甲羅の欠片が落ちていたという。秋の名月が照らす夜には、今もその亀の影が月面に寄り添い、餅を搗くうさぎと語り合っていると伝えられているのである。
ファンタジー
公開:25/10/05 16:27
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