シン・シンデレラ

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「やってらんないわ」
継母と義姉の意地悪が止まらない日々に、思わずシンデレラの口から漏れたひとこと。
それまで、耐えに耐えてきた。両親から受け継いだ品性だけは失うまいと。
「もういい。新しい私になる」
自分が壊れそうになっていた彼女は、ついに決断した。
夜中にキッチンの冷蔵庫から、ビールを持ち出した。
プシュッと開けると、グビ一ッと一気にいった。
「プハーッ、うまい!」
プシュッ、グビーッ、プハー、を繰り返すこと5回。初めてにして5本のビールを開けた。そして、ビールの魔法が彼女を変えた。
「もう、あたいはこれまでのシンデレラじゃない。シン・シンデレラよ」
以来、シン・シンデレラの快進撃が始まった。魔法使いに取り入ってうまいことお城のパーティーで王子様に見初められ、ハッピーエンドへの道をひた走った。幸せの陰にビールありとは世の誰も知らない。願わくは、ビールの魔法が永遠に解けませんように。
その他
公開:25/10/05 08:18

ジャスミンティー

2023年10月から参加しています。作品を読んでいただき、ありがとうございます。

noteへの投稿も始めました。よろしかったら、そちらもご覧ください。エッセイ、短歌なども載せています。https://note.com/real_condor254 
 

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