ご神体

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ゴクゴクゴク……。喉越しの良い液体が結構な速度で吸い込まれていく。チャプンッ。液体はやがて胃の底で池と化した。
次はタレのついた肉塊が喉元を通り過ぎると、ドボンッと大きな音を立てて池に落ちた。
チビチビ……。また液体が吸い込まれたが、その速度も量も先程とは違い、ゆっくり且つ少量である。と思ったのも束の間で枝豆やナッツ、チーズが放り込まれると、またしても液体が滝のように押し寄せた。
胃神はあまりの放埒っぷりに、怒りをあらわにした。体の主は毎日このような有様である。隣に鎮まる肝神を起こすことにした。
「この暴挙、どう思われますか」
「看過できませんな」
肝神は沈黙の暴れ者として知られており、普段は静かだが一度暴れると取り返しのつかない大災難をもたらす。
それから半年が経ち、健康診断の季節がやってきた。主の肝臓の数値は医師も引っくり返るほどの高値であった。神の怒りは全く恐ろしいものである。
ファンタジー
公開:25/10/01 12:23

みゆう

エッセイ書きですが、小説に挑戦しています。27歳。

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