グビグビ星人の善意性

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 仕事から帰ると、俺は今日も冷蔵庫からクラフトビールを取り出し、ベランダに出てグビグビと飲んだ。疲れた身体に沁みてゆく。
 すると、今宵も空からグビグビ星人がやってきた。
 最近俺がグラフトビールをグビグビと飲むと、決まってやって来る。どうやら『グビグビ』という音に反応しているらしい。
 グビグビ星人はその見た目とは裏腹に、話してみると意外と温厚な奴だった。遥か彼方にあるグビグビ星から追い出されて夜空を彷徨っているらしい。多分故郷の『グビグビ』と俺の『グビグビ』が無意識のうちにリンクしているのだろう。一体何をして追い出されたのか皆目検討がつかない。
 俺はクラフトビールをコップに分けて、グビグビ星人に与えた。するとグビグビ星人は嬉しそうに、プレゼントだと言って本を俺に差し出した。
 その表紙には『グビグビ星の歩き方』と書いてあった。
 追い出されたのに? とはとても言えなかった。
SF
公開:25/09/30 13:49
更新:25/10/02 22:34

久保田毒虫( 広島 )

ショートショートマニア兼作家兼虫。
ベリショーズ Vol.13〜14、たびぽえ第9号、夢みたものは 第5〜9号、第1〜2回引きこもり文化祭作品集、ANTHOLOGYB、物書きさんの三日日記、水平線vol.1〜2、星々vol.1〜3 等に作品掲載
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