プルタブ
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目を開けると保健室だった。
そうだ、体育の授業中、すごく胸が痛くなったんだった。お腹も張って苦しくなって…
実は半年前から、痛みや張りが続いていた。私は悪い病気なんだろうか。
「原因が分かったよ」先生が笑顔で近付いてくる。
「胸の辺り、見てみてごらん」
その笑顔を信じて、恐る恐る体操服をめくった。
何これ。
胸の中央に、プルタブがついているではないか。ジュースの缶そっくりの。
「あなた、あまり自分の気持ちを言えないんじゃない? でも、心は開けてほしがってるみたい。ほら、缶って、開けられるためにプルタブがついてるでしょ。あなたの心も同じ」
いつからか、私は周りに相談できなくなっていた。それが中に溜まっていたのか。
その時母が入ってきた。仕事着のまま、息も乱れている。
「ねえ、開けてくれる?」かすれた声が出た。
母は微笑み、プルタブに指をかける。
プシュッ!!
大きな音が出て、二人で笑った。
そうだ、体育の授業中、すごく胸が痛くなったんだった。お腹も張って苦しくなって…
実は半年前から、痛みや張りが続いていた。私は悪い病気なんだろうか。
「原因が分かったよ」先生が笑顔で近付いてくる。
「胸の辺り、見てみてごらん」
その笑顔を信じて、恐る恐る体操服をめくった。
何これ。
胸の中央に、プルタブがついているではないか。ジュースの缶そっくりの。
「あなた、あまり自分の気持ちを言えないんじゃない? でも、心は開けてほしがってるみたい。ほら、缶って、開けられるためにプルタブがついてるでしょ。あなたの心も同じ」
いつからか、私は周りに相談できなくなっていた。それが中に溜まっていたのか。
その時母が入ってきた。仕事着のまま、息も乱れている。
「ねえ、開けてくれる?」かすれた声が出た。
母は微笑み、プルタブに指をかける。
プシュッ!!
大きな音が出て、二人で笑った。
その他
公開:25/10/02 11:57
読むのも書くのも好きです。よろしくお願いします!
2022 ショートショート集『節目の一杯』をつむぎ書房より出版
2023 愛媛新聞超ショートショートコンテストにて「かぞくしんぶん」が特別賞に選ばれる
2024 第20回坊っちゃん文学賞にて「鯉のぼり」が佳作に選ばれる
発表し合える環境に感謝します。
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