酒を飲みたい相手

９月３０日納期の仕事が終わり、今日は若干弛緩した空気が流れる。
昨日まで多忙だったんだ。今日は少しくらいだらけてもいいだろう。今日くらいは定時に帰ってもいいだろう。
会社を出た私は、一緒に飲まないか？と、私の中の”お疲れさん”に声をかけた。
「お前、内臓はまだ疲れているんだから程々にしろよ」
私の中からお疲れさんが出てきては、私の心配をしてくれる。まあ、昨日までかなり無理したもんな…
「でも、飲みたい気持ちはよく分かる。お疲れさんの俺も、さすがに疲れた…」
おや？だいぶ疲労困憊のご様子。
ならなおさら、その働きを労わせてほしい。
近くの居酒屋に入り、焼き鳥と酒を注文する。
それでは、働き者の慰労会を始めるとしますか。
ご苦労様です。と言い、グラスを軽くぶつける。
『呼んだ？』
私の中から、これまた疲労困憊といった様子の”ご苦労様”が出てきた。
「オヤジ！酒と焼き鳥、もう一人分追加お願い！」