三年

あの事件から三年。犯人が捕まった。オレを刺して逃げた男。日本中を転々として逃げていたらしい。長かったような、短かったような。やっと成仏できそうだ。天国へ行く時間が迫る。仲間の一人が声をかけてくれる。「おめでとう。元気で。」
私は何て言えば良いのだろう。彼は、かれこれ５０年成仏できずにいる。この先も成仏できないだろう。でも私は言う。「あなたの事件もきっと解決しますよ。天国で待ってます。」
「ありがとう。君は優しいな。」
天使が現れる。みんなに見送られながら私は旅立った。
ベッドに横たわっている。声をかけられて目覚める。
私「ここが天国か～。」
見知らぬ男「えっ？ここは地獄ですよ。」
私「えーっ？」
その時、私は思った。成仏なんてしなきゃ良かったと。