お久しぶりです

「今夜、星を見に行かないか？」
夫から久しぶりにデートに誘われた。
「僕、お留守番してるね～」「私も～」
息子と娘は乗り気ではない。当然か…雨女の私と一緒の天体観測なんて雨が降るに決まっている。
「じゃ、久しぶりに二人で星を見ようか」
晴れ男の夫と一緒なら降らない可能性だってある。だけど、その場合は良くて曇りだろう。星なんて見られるわけがない。夫は何で私をデートに誘ったんだ？
その理由は夜になって分かった。
夜空を見上げる。雲一つない晴天。雨女の私がいるのにこの天気は凄く珍しい。
「いいや。今夜、雨は降るさ」
そう断言する夫。それにもやっとする。
夫はこの星空を見せたくてデートに誘ったのではないのか？
「…そろそろだな」
その呟きとともに夜空に変化が起こった。
流れ星がいくつも降り注ぐ。
「流星雨って言うんだ。見られる可能性は低かったけど、君を連れてきて正解だった。素敵な雨天をありがとう」