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職場の先輩が山道の運転中に事故を起こして亡くなった。俺は花束を用意して現地を訪れた。すると間もなく辺りを濃い霧に包まれてしまった。
「しかたない。晴れるまで待つか……」
その時のことだ、姿のない男の声が隣から聞こえてきたのは――。
「邪魔するよ」
男の声には聞き覚えがあった。俺はおそるおそる訊ねた。
「……先輩?」
「そうだよ」と先輩はあっさり認めて続けた。「車に細工したの、お前だよな?」
先輩の指摘通りだ。なんでも器用にこなす先輩に嫉妬していた俺は、ブレーキに不具合が生じるよう手を加えた。だけどまさか死ぬなんて。そこまで望んでいなかった。
「申し訳ありませんでした。本当にすみません……」
ここで同じ目に遭わされても文句は言えない。そう思っていた俺に、先輩はやさしく答えた。
「もういいよ。罰は山が下すから」
この一件以来、俺の視界にはずっと霧がかかっている。
「しかたない。晴れるまで待つか……」
その時のことだ、姿のない男の声が隣から聞こえてきたのは――。
「邪魔するよ」
男の声には聞き覚えがあった。俺はおそるおそる訊ねた。
「……先輩?」
「そうだよ」と先輩はあっさり認めて続けた。「車に細工したの、お前だよな?」
先輩の指摘通りだ。なんでも器用にこなす先輩に嫉妬していた俺は、ブレーキに不具合が生じるよう手を加えた。だけどまさか死ぬなんて。そこまで望んでいなかった。
「申し訳ありませんでした。本当にすみません……」
ここで同じ目に遭わされても文句は言えない。そう思っていた俺に、先輩はやさしく答えた。
「もういいよ。罰は山が下すから」
この一件以来、俺の視界にはずっと霧がかかっている。
ホラー
公開:25/09/18 05:42
更新:25/09/18 07:17
更新:25/09/18 07:17
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintを使っています。
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