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「やぁ、久しぶり。前は半年前くらいだったかな」
「せやな。お前の半分は常にワイなんやから、久しぶり言うんは違和感やけど、面と向かって話すんは年に1、2回か」
ゆっくりと流れる悠久の時間。
瞬きにも満たない刹那の瞬間。

「こうやって君と話す機会はとても嬉しい。一部の暮らす者たちは大騒ぎだったりしたが、最近は落ち着いているようだ」
「そんなん気にする必要あらへん。あっちゅーまに他のヤツらが出てくるさかい。アイツら、ワイの完璧な黒の上にチカチカと。正直、気に入らんわ」

会話に加わる存在がある。
「あら?私から見たらキラキラ輝いて悪くないわよ。それにあの子たち、随分と私のこと好きみたいで可愛いわ」
「やや、これは失礼。今夜の主役は貴方でした」
「ちょいと間借りさせてもらうで。カゲって寂しいわ。映り込むモンがあって初めてみんなワイに気づくんや」

今宵の月はいつもと違う。
紅く、怪しく、美しく。
SF
公開:25/09/08 00:00

いぬさか( 関東 )

初心者ですがよろしくお願いします。
心に浮かんだシーンを気ままに描いていきたいです。
同名で NOVEL DAYS でも活動しています。

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