あたためますか？

「先輩！今日のレースのコース、準備が整いました！いつでもスタートできます！」
自信満々の後輩だが、私はその仕事っぷりにため息を吐く。
「どうしたんですか先輩？もしかして俺、またミスしちゃっています？」
後輩の指導役となって早数年。今日も今日とて、それを指摘する。
『はい。ミスしちゃっています。君はさぁ、今日のレースが赤ちゃんのハイハイレースって分かってる？』
「それはもちろん！」
『じゃあ何でコースの途中に給水所があるの！？』
「それはハイハイに疲れた赤ちゃんに途中、飲んでもらおうと思って…俺、ちゃんと赤ちゃんのことを考えて、飲みやすいよう哺乳瓶を設置したんですよ！」
『だったら今すぐ、赤ちゃんが飲みやすいように哺乳瓶の中のミルクをあたためなさい！』
「あっ！すっ…すいません！今すぐ人肌くらいの温度に温めてきます！」
まったく…あの後輩、ちょっとずれているのよね…誰に似たんだか…