加工品

テツオさんが加工されました。
私は担当ではないのですが、店頭に並んでいるのを見ました。
消費期限日の前、テツオさんは半額でした。誰も買いません。
担当者に廃棄するのかと聞くと、「それは俺の仕事じゃない」と言います。
お客さんは「いつ売られるのか」「いつ半額になるのか」と仕切りに聞いていますが、売った所でお客さんは誰一人買いません。
暫くして、タエコさんが加工されました。
消費期限日の前、タエコさんは半額でした。タエコさんは買われました。
買った人は大分年配の老人でした。
「ちゃんとよく噛んで下さいね、なんせ腐りかけの魂ですから」
「えぇ、この頃自分では難しいので、安くて有り難い」
「皆さん、廃棄された消費期限切れをゴミ箱から漁るんです。まるで餓鬼です」
「あはは」
「あはは」
担当者と老人は笑い合っています。

私は店の裏へと回りました。