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太古の昔、一匹の巨大な魚が月を食べた
月が消えると空から明かりが消え
人々はひどく悲しんだ

ある日、若い男たちが
月を食べた魚を見つけるために
小さな船で旅に出た

闇の海には恐ろしい魔物が住み着き
旅の最中で何人かの男が死んだ

数日・数ヶ月・数年…
多くの月日が流れたのち
ついに男たちは目がくらむような輝きを
腹から放つ魚を見つけた

魚の腹を割くと丸い月が
弾けるように飛び出した

男たちは歓喜したが
月はもう空に浮かぶことはなく
プカプカと水面を漂うばかり

地上に持ち帰ろうにも
小さな船ではとても運ぶことが出来ない

男たちは悩んだ挙句
大きな月を小さく小さくちぎり
少しずつ空へと放り投げていった

膨大なときが過ぎ、小さくなった月は
ようやくふわりと宙に浮かび上がり
元居た場所へ戻っていった

空に残った月の欠片たちはやがて星と呼ばれ
月と同じように人々の信仰の対象となった
ファンタジー
公開:25/09/03 18:22

ボムのかけら

ふと思いついた作品を投稿していきます。おそらく頻度は遅めです…

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