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町の公民館で開かれる手芸サークル。私は羊毛フェルトで猫を作るつもりだった。だが針を刺しても刺しても、ただの丸い塊になってしまう。隣の席のベテランが、まるで生きているような柴犬を仕上げるのを見て、ますます肩身が狭くなった。
それでも悔しくて夜な夜な作業を続けると、机の上には大小さまざまな毛玉の山ができた。仕方なくそれをまとめて持っていくと、子どもたちが歓声をあげた。
「わあ、たこ焼き!」
「おいしそう!」
気づけば私は“リアル食品シリーズ”の人として話題になり、イベントでは行列までできるほどに。だが賞賛を浴びるたび、心の片隅で小さくつぶやくのだ。
「本当は猫が作りたかったんだけどなあ」
――結局、一番上手に作れたのは“あんこ入り団子”だった。
それでも悔しくて夜な夜な作業を続けると、机の上には大小さまざまな毛玉の山ができた。仕方なくそれをまとめて持っていくと、子どもたちが歓声をあげた。
「わあ、たこ焼き!」
「おいしそう!」
気づけば私は“リアル食品シリーズ”の人として話題になり、イベントでは行列までできるほどに。だが賞賛を浴びるたび、心の片隅で小さくつぶやくのだ。
「本当は猫が作りたかったんだけどなあ」
――結局、一番上手に作れたのは“あんこ入り団子”だった。
その他
公開:25/09/03 11:20
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