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旅人は自分の居場所を見つけられないまま旅を続けていた。都会にいたときは疲れ過ぎ、海辺に居た時は寂しかった。後は山里だけが残っていた。季節が変わり山麓のふと入った小さなスーパーで何故か懐かしさを感じた。棚の野菜は土の匂いを残し、手作りの漬物は家族の温もりを宿している。観光地では見付けられなかった日常がここにはあった。
大根を手にしたとき、店員が雨で畑が潤ったから今日は安いんですよと笑い、横の漬物は私の祖母が耕した畑の野菜で漬けた物ですと、その素朴な言葉が旅人の心に響いた。
私が求めていたのは、人と土地が織りなす温もりのある暮らしだったのだ。買った野菜の袋は値段以上に自分の心を支えてくれる錘のように重く思えた。
長い時間旅をしていたが、ようやく根を下ろす場所を見つけた。旅人は静かに決めた。この町で生きて行こう。
根を張り自分もまた出会った誰かに温もりを与えたい。
大根を手にしたとき、店員が雨で畑が潤ったから今日は安いんですよと笑い、横の漬物は私の祖母が耕した畑の野菜で漬けた物ですと、その素朴な言葉が旅人の心に響いた。
私が求めていたのは、人と土地が織りなす温もりのある暮らしだったのだ。買った野菜の袋は値段以上に自分の心を支えてくれる錘のように重く思えた。
長い時間旅をしていたが、ようやく根を下ろす場所を見つけた。旅人は静かに決めた。この町で生きて行こう。
根を張り自分もまた出会った誰かに温もりを与えたい。
ファンタジー
公開:25/09/05 08:00
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