あたためますか？

今年の暑さも異常だ…日中のうだるような気温は夜になっても一向に収まる気配がない。
涼を求め歩いていると、このクソ暑い中、焚火をしている連中を見かけた。
「冷たくて気持ち～」
いったい何の冗談だ？何となしに連中に近づくと、本当に涼しさを感じた。
「おっ！あんたもこの冷たい炎で涼しんでいくかい？」
連中の一人が声をかけてきた。飲むか？と言わんばかりに缶ビールを差し出してくる。
誘惑に負け、連中の輪に加わるとビールの蓋を開ける。
まるでキャンプのようだ。気分が良くなり勧められるがまま２本３本とビールを開ける。
そうしていると焚火が小さくなってきた。何か燃やすものは…
「それなら、こいつに息を吐きかけてあたためてやってくれないか？」
そんな事でいいのか？お安い御用だ。
息を吐きかける。口の中から白いもやが出てきて焚火に吸い込まれた。
「これでまた一つ、人魂回収っと」
その声を最後に意識が遠のく…