あたためますか？

私はトイレの花子さん。かつて全国の子ども達を震え上がらせた学校の怪談だ。
あの頃の子ども達と言ったら、私を肝試しの道具くらいにしか見ていなかった。私としてもその扱いにむかっ腹を立てたものだ。
そんな子ども達も、時代の流れとともに態度を改めてくれた。
中には大人になるとあの時のお詫びだと言って、トイレにウォシュレットとヒーター、さらには音姫までつけてくれる子もいた。
そこまでしてもらったのなら、私も何か恩返しをするべきだろう。
そうね…トイレで泣いている子の相談相手くらいにはなってあげられるかしら？
誰にも打ち明けられない悩みも、私になら言えるでしょ？
そうやって話を聞いている内に、いつしかトイレの花子さんは駆け込み寺と化してしまった。
最近じゃ教育や子ども達との接し方に悩む先生も私のもとにやってくるわ。
あなたももし、学校で何か悩みがあるのなら私を訪ねてきなさい。便座を温めて待っているわ。