神様の匂い

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路地裏に奇妙な店を発見した。
看板には“匂い屋”と書かれており、
店内には大小様々な小瓶が並べられている。

気になって暖簾をくぐると
店員らしき女性が声を掛けてきた。

「いらっしゃいませ」
「ここは何のお店ですか?」
「ここではお客様の希望する匂いを販売しております」

詳しく話を聞くと、客から匂いに関するエピソードを聞き
それに沿って香水を調合。
求めている匂いをつくり出してくれるらしい。

「どんな匂いでも出来るんですか?」
「どんな匂いでも可能ですよ」

無機質な笑みを浮かべる女性。
気味の悪さを感じながらも私は興味本位で尋ねた。

「では神様の匂いをつくれますか?」
「もちろん。詳しくお聞かせください」

私は自分の中の神のイメージを
出来る限り言葉にして伝えた。
完成した香水の蓋を開け、
ドキドキしながら鼻を近付ける。

そこから漂ってきたのは


飼い猫のお腹の匂いだった。
その他
公開:25/08/26 18:20

ボムのかけら

ふと思いついた作品を投稿していきます。おそらく頻度は遅めです…

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