死人に口溶け

0
2

私はお盆の時期になると狂ったようにアイスを食べ、腹を下す。


その原因は、3歳の時に高熱で死んだ弟・弘である。

弘はお盆の時期だけ、私の体に憑依する。

憑依して、生きていた時、熱を出した時に食べたかったであろうアイスを爆食する。無論、新商品も全て食べる。

結果、私はお盆終わりに腹を下し一週間程寝込む。

そんな私ももう70。私は夢枕で弘に懇願する。

「頼む、気持ちは分かるが控えめにしてくれよう。下痢で死んだら格好が付かない」


夢の中の弘はニッコリと笑って頷いた。流石は私の弟、聞き分けが良い、誇らしい——。




——お盆が来ても、弘は来ず。私はアイスを食べなくなった。

これはこれで寂しい。もう来てくれないのかな。

追い打ちをかけるように、娘と孫の里帰りの中止を娘から告げられた。
「どうして来られないんだ」


「弘翔がアイスの食べ過ぎで」


「そっち行ったかぁ」
ホラー
公開:25/08/20 20:33

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容