世知辛い
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暇だったので、ごろごろしていた。ふと、部屋の隅に置いてあった殺虫剤の缶が視界に入った。ぼんやり見ていた。『詩集にも使えます!』そんな文字を見つけた。起き上がって、本棚の詩集を手に取り、そして殺虫剤を手に取り、詩集に向かって噴射した。しばらくしたら、ぼとぼとぼと、とページの隙間から、何かが床に落ちた。よく見ると、それは『愛』という字だった。愛は害虫と同じか。世知辛いねえ。殺虫剤と詩集を床に放り出し、またごろごろし始めた。
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公開:25/08/20 17:40
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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