夏の終わりに誰がために

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沖へ出た宿船は明けの明星を背に、仕掛け網の場所に着いた。網の巻取りを開始すると宿師は確かな手応えを感じた。
「船長。大量ですね」「ああ、こりゃ大物もあるぞ」
ドリル
絵日記
読書感想文
次々と網にかかった『獲物』が船に上がった。8月も終盤、夏休みの宿題漁も最盛期を迎える。
「船長!自由研究です!」「おお!読みが当たったな」
熟練の宿師の勘は冴え、自由研究の群れを見事とらえた。

港に着いた題宿丸は大量の宿題を併設する市場に卸した。
「これで31日に泣く子が減りますね」
「ああ、最近じゃ宿題代行なんてふざけたモン横行しとるがな。天然モンに勝るわけねぇ」
「ところで船長。いいんですか」
「何がだ」
「娘さんの分、取り置きしなくて」
「おい。勘違いすんな。宿題は自分でするもんだろ」
「じゃあなんで…」「子供の為に獲ってんじゃねぇ」
「それじゃ誰に」

「それ以上言わせるな。それでもそれが親心だ」
SF
公開:25/08/20 11:56

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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