犬と夜の散歩

0
2

miは大吉という柴犬を飼っている。マンションの庭先には百日紅が夏の名残を告げていた。立秋を迎えたとはいえ、残暑の熱気がアスファルトにこもっている。大吉が嫌がるので、散歩は夜になる。

夜の住宅街は遠くから虫の声と涼しげな夜風が広がっていた。街頭に照らされた影が並んで伸び、miはそれを見るのが好きだった。

散歩嫌いで帰りたがる大吉を宥めながら散歩を続ける。散歩好きなmiからしたら若干のストレス。だが大吉と触れ合う時間は愛おしい。

帰宅後、miは笑みを浮かべながらミルクをマグカップに注ぎ、ソファーで寛ぎながらボンヤリとテレビを観ながら飲む。束の間の幸せを味わう。

気分が良いmiは側にいる大吉の背中を撫でる。ミルクの匂いが苦手な大吉は明らかに怪訝そうな表情を浮かべる。

「大ちゃん。あなたがいけないのよ。私の側から離れないんだから。」そういってmiは大吉をゲージに入れて一息つくのだった。
その他
公開:25/08/20 08:41

hiroki( 関東近郊 )

仕事でデータなどの数値を扱っているうちに、創作意欲が湧いてきてしまいました。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容