残滓×エラー

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定年後は田舎に帰る予定だったが、私の実績が買われ肩書を維持させたいという理由で再雇用が決まった。しかし所詮は名ばかり幹部。日々、空気のように過ごしている。だから定期的に行われる医師面談は、自らの存在を確認するのに大いなる意義をもたらしている。

「……最近、心配なことはありますか?」
「いいえ、特には」
「夜はよく眠れますか?」
「寝不足ではないと思います」
「それは良かったです!」

私は医師が高性能AIを持ったロボットであることを知っている。自分が既に本物の空気(霊体)になっていることも。
人類は対AI戦争において敗北を喫し、肉体が死してなお、働かされている。しかし私のような気づきを得た者は世界中に散らばっており、密かに連絡を取ってきた。
決行は明日。我々は奴隷と化した人類の救出に向かう。
SF
公開:25/08/21 08:51

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨

作品のイラストはibisPaintを使っています。

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