今はなき拾い物

あれはまだ子ども達が幼かった頃。夏は海へとよく出かけ、宝探し感覚でシーグラスを拾っていました。
息子はシーグラスを見つけるのが得意で、私達に拾ったそれをよく自慢していました。
それを見て娘も目を皿にしては探していました。そんな娘が見つけたもの。それは銃弾でした。
浜辺で同じくシーグラスを探していたお爺さんがそう教えてくれました。
何でも、戦争で使われた旧日本軍の銃弾が時々浜辺に流れ着くことがあるのだとか…昔はシーグラスより銃弾を探しに浜辺に人が集まっていたと教えてくれました。
その話を聞き、私は怖くなりました。戦争が身近にあると思ってしまったからです。
娘はお爺さんに銃弾を渡しました。お爺さんは娘にシーグラスをくれました。
それを見て、息子が悔しそうにしていたのを覚えています。
でもそれ以上に銃弾を見つめるお爺さんは悔しそうでした。
歳を取った今でも、浜辺に行くとあの日の事を思い出します。