赤

今日、ポチに赤紙が届いた。
北の大地で戦う兵隊の為、その毛皮を差し出せ。と、書かれた紙。
到底、納得できるものではない。だから反対した。
兵隊なら戻ってこられる可能性もある。だけど、毛皮にされてしまったらポチは生きて帰ってこられない。
だから抵抗した。そしたら、配給を止められた。周囲でありもしない悪評を流され、非国民の烙印を押され、村八分に遭う。
両親はそれに耐えられなかった。だからポチを差し出した。
私が学校から帰ってくると、両親は目を真っ赤に腫らし、涙とともに謝罪の言葉を何度も繰り返していた。
ポチは差し出されてすぐに、両親の目の前で殺された。棍棒で殴り殺されたらしい。
目の前が怒りで真っ赤に染まる。
ポチを殺した兵隊も、見殺しにした両親も、周囲の連中も、皆皆、死ねばいい。
どす黒い呪いの言葉。それは現実のものとなった。
数日後。兵隊も両親も町も、全てが爆弾の炎に包まれた。ざまあみろ。