気のせいではないと思いたい

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気分をかえて単行本サイズを手に取る

ふうん、それで?
読みにくいの?
感触?
文庫本ばっかりでしょ、しかたないかな

珍しく、やさしく響く自転車のベルに
うすらいだ記憶をゆさぶられる

ああ、夏の、風鈴の音かあ

けど、遠くすぎてしまったあの季節を
思い出すのは難しい

「熱」の匂いが鼻先でふらふらして
でも、きちんとつかまえてあげられない
いつものことだけどさ

まごまごしてたらモウレツな寒さになっちゃって
「熱」の気配は、粉々につぶされる

名前とはウラハラ「熱」は案外もろくって
刺すような寒さの前では、薄い氷のようにあっけない

「熱」は甘いものが好物らしいよ

たい焼き、ドーナツ、シュークリーム
甘いものならなんだって

与えてやるとみるみる元気になって
厚い氷の壁だって、たちまち突きやぶってくれる

と誰かが言った奇妙なお話し
ひそかに信じている自分が滑稽で








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その他
公開:26/01/27 04:01
更新:26/01/27 04:05

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