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「殺さないで」
とネズミは言った。
「殺さないさ」
と僕は答えた。
多分、僕が殺さなくても誰かが殺すだろうし、殺しているだろうし、殺され続けるだろう。けれど、今、目の前にいるネズミは、他のところにいるどのネズミよりも安全だと思った。
「なぜ、殺さないの」
とネズミは言った。
「殺す理由がないし、殺したくないからさ」
と僕は答えた。
しかし、ネズミであるということは、生き続けるに値することだろうか、と僕は思った。いつでも腹を空かせていて臆病に逃げ回って無力で、何かを成し遂げるという目標がない命だ。ネズミは忙しいだろうか。それとも退屈しているだろうか。
「殺せばいいのに」
とネズミは言った。
「嫌だ」
と僕は答えた。
するとネズミは黙って食卓のテーブルの下へ駆けて行き、壁と床の隙間に身体をねじ込んだ。
尻尾の先まで闇に消えた後、天井裏から、けたたましい笑い声が響いた。
とネズミは言った。
「殺さないさ」
と僕は答えた。
多分、僕が殺さなくても誰かが殺すだろうし、殺しているだろうし、殺され続けるだろう。けれど、今、目の前にいるネズミは、他のところにいるどのネズミよりも安全だと思った。
「なぜ、殺さないの」
とネズミは言った。
「殺す理由がないし、殺したくないからさ」
と僕は答えた。
しかし、ネズミであるということは、生き続けるに値することだろうか、と僕は思った。いつでも腹を空かせていて臆病に逃げ回って無力で、何かを成し遂げるという目標がない命だ。ネズミは忙しいだろうか。それとも退屈しているだろうか。
「殺せばいいのに」
とネズミは言った。
「嫌だ」
と僕は答えた。
するとネズミは黙って食卓のテーブルの下へ駆けて行き、壁と床の隙間に身体をねじ込んだ。
尻尾の先まで闇に消えた後、天井裏から、けたたましい笑い声が響いた。
ファンタジー
公開:26/01/29 22:18
十二支考
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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