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 ある日、国会議員を乗せた車が田舎を走っているとき、突如として車が制御不能になり、底深い沼へ真っ逆さまに突っ込んだ。

 そのとき、ちょうどそこを歩いていた百姓が慌てて警察を呼んだ。だが、懸命の救助も虚しく、車内にいた者は皆溺れ死んでしまった。

 後日、警察やらマスコミやらがごった返す事後現場に、件の百姓が通りかかった。すると、彼らは血の匂いを嗅ぎつけた鮫のように百姓を取り囲んだ。

「あなたが真っ先に救急車を呼べば助かる命もあったのに、何故呼ばなかったんです?」

 五洋新聞の記者が敵意たっぷりに詰問した。

「いやぁ、おらぁてっきり皆死んじまったとばっか思っててよ。議員さんが『私はまだ生きてる、早く助けて〜!』とか言ってたけんど、まーた政治家が大ボラ吹いてら思ってさ、おまわりさんだけ呼んだんだわ」
その他
公開:26/01/29 20:41
更新:26/01/29 20:44

ウルス・ミシカ

小説を書く熊です。
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