女中

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 蛙を食ったら死んだ。秀雄の屋敷に仕えていた女中の言い分であった。たしかに彼の奇食譚には弁えがなかったが、燕尾服に身を包んで語るその様相から、何かに喰われる姿を誰も想像などしていなかった。
 十能から取り出した炭を銅の火鉢に放り込む。赤土色の着物には結った髪から抜け落ちたであろう白髪がまばらに散っている。一尺に足らない火箸が縁を叩いた時、女中は口を開いた。灰がかった熾火からは、白ずんだ竿縁の横木が二、三本見えるのみであった。
その他
公開:26/01/24 02:00
更新:26/01/25 01:20

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