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 健康第一党が政権を握って以来、不健康犯罪の検挙数は増加の一途を辿っている。
 党はその名の通り「健康第一」を掲げ、健康を損なう凡ゆる行為は憲法第25条に反するとし、徹底した健康政策を進めた。
 結果、煙草や酒などの嗜好品は姿を消し、娯楽すらも“不健全”として規制され、街には病院が乱立した。
 政府はより強力な薬を求め、外資を優遇し、国内企業は疲弊していった。
 入管局には治験謝礼を目当てに移民が溢れかえり、社会では文化の軋轢による犯罪が多発した。
 そんな中、人々は秘密裏で手に入れた“堕落”を愉しんだ。おかげで反社会勢力が肥え太ったのは言うまでもない。
 衆議選を間近に控えた某日、独り政権批判を続けていた議員が謎の死を遂げた。
 時の首相は乾いた目にハンカチを当てて言った。
「彼の死は、我が国に不健康をもたらさんとする反日勢力の仕業です!」
 その言葉に、議会は万雷の拍手に包まれた。
その他
公開:26/01/22 20:10

ウルス・ミシカ

小説を書く熊です。
 

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