トーストされる世界

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 オーブントースターが鳴ると、世界がブレ始める。世界が熱せられて、陽炎に包まれていく。
 校門が姿を変え始めた。
 両開きの鉄格子の門。奥には洋風の大きな屋敷が見える。
 気づけば服も変わっていた。燕尾服だ。
 周りの生徒たちも似たような服装やドレスに変わっている。嫌な予感しかしない。
 再びオーブントースターが鳴る。世界から陽炎が消え、世界が確定した。
 変化した世界では、与えられた役割を演じなければいけない。
 目の前に指令が浮かび上がる。
『あなたは公爵家の……舞踏会を楽しむこと……ダンスの相手は……』
 最悪だ。踊ったことなんてないし、相手はずっと好きだったあの子だし。正直、恥をかきたくない。
 見回して彼女を探す。いた。
 彼女は自分のドレスを見つめてから、くるりと回る。
 こんなイかれた世界でも彼女は、心底楽しそうに笑っていた。
 気づけば足が動いて、
「僕と踊ってください」
ファンタジー
公開:26/01/16 20:51
三題噺 校門 オーブントースター 振れる(ブレる)

猫目ちゅん

のんびり屋さんです。よろしくお願いします。日常を書くのが好きです。ファンタジーも好きです。思いついたものならなんでも好きかもしれません。たまにタイトル裏のイラストも描きます。

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