空っぽの置き配

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通販アプリから置き配完了の通知が届いた。
取りに向かう前に飼い犬に餌をやろうとしたが、姿が見当たらない。どこかで遊んででもいるのかしら? と思いながら、私は玄関へと向かった。

引き戸を開けた私は立ち尽くした。箱が開いていたからだ。しかも、中身はなくなっている。
配達業者から送られてきた写真には、確かに閉じた箱が写っていた。それが今は、ガムテープは千切れ、箱の一部も破けている。

ふと、段ボールの側に何かが落ちているのに気が付いた。それは、噛み跡だらけで縫い目も所々ほつれた、布製のボールだった。
私はこの事件の犯人を悟った。

リビングに戻ると、飼い犬が新品のバスタオルにじゃれて遊んでいた。紛れもなく、私が注文したものである。
「こら、勝手に外に出ちゃダメじゃないか。それに、荷物も開けただろ」
そう叱ってみても、彼は小首を傾げるばかりだ。
その無邪気な姿に、私は苦笑するしかないのだった。
ミステリー・推理
公開:26/01/18 15:00

ととまとまと( 東京 )

文章を書く練習をしています。

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