守りの指輪

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荒廃した城塞都市の夜。
かつて栄えた塔は崩れ、瓦礫の路地に風が吹き抜ける。
影の囁きが心を侵そうとした。

その人は指輪を見つめる。
銀の輪は光らない。
ただ静かにそこにあるだけだった。

その指輪には破邪の祈りが宿っていた。
冷たい風が和らぎ、胸の奥に微かな温もりが広がる。
闇に呑まれそうになるたび、祈りの力が影を遠ざけた。

「まだ歩ける」と囁くように。

それは贈り物ではなく、
一人の信頼が結んだエンゲージメントだった。
契約のように、絆のように、
もう一人の手のぬくもりを覚えている。

――たった一人が「そのままでいい」と承認してくれるなら、
心は崩れずにいられるのか。

その人は再び指輪へ視線を戻す。
光らない輪。
ただ、その沈黙が闇の中でその人を支えた。
ファンタジー
公開:26/01/19 07:00

問い屋

その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
問いの続きを、ここにまとめています。

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