強風

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朝から少し風は強かったが、私は散歩をしていた。突然、嵐の様な強風が吹き荒れた。ベランダから洗濯物は空へ舞い上がり、商店の看板は悲鳴のような音を立て、木々は今にも根こそぎ引き抜かれそうな勢いで揺れだした。
その時、確かに風の中から自分の名前が呼ばれた気がした。驚いて立ち止まると、足元を転がっていた一通の古い手紙が、ふわりと宙に浮かび上がった。
封は破れ、文字はばらばらにほどけ、やがて白い鳥へと姿を変えていく。
鳥たちは風に導かれるように空を旋回しながら、私を町外れの丘へ誘った。
丘の上には、幼い頃の私が立っていて、何かを待つように微笑んでいる。
次の瞬間、強風は嘘のように止み、鳥たちは再び手紙へ戻った。
かすれた文字でまだ間に合うとだけ記されていた。
私はもう一度頑張ろうと思い直し,第一歩を歩みだした。
ファンタジー
公開:26/01/13 11:10

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