風と初雪
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風の強い日に初雪が舞った。歩いて橋を渡る。
橋の上から見える遠くの山は、白くて霞んでいる。
凍える手に息を吹きかけた時、「助けてー!」と声が聞こえた。上からだ。
見上げると足をバタバタさせた女の子が、グルングルンと宙を舞いながら、私の方へ向かってきた。
咄嗟に手を掴んで地上に降ろすと、彼女は言った。
「ありがとう。あの山の向こうから、意地悪な風に飛ばされたの」
「えっと(それはお気の毒に…?)、帰れるの?」
「風と喧嘩したの。ひどいの。謝りたくもない」
「風が悪いことをしたの?」
うーん、と女の子は俯いた。
「まだ、謝りたくないの。だけど、風は傷ついたかもしれない」
私は右手を突き出し、ぐるぐる回した。うまい具合に風が右拳に乗った。
「風は待ってくれているよ。そのうちに、謝った方がいい」
女の子は渋々頷き、ぴょんと跳ねた。途端に風は彼女をさらい、また山の方へ運んでいった。
橋の上から見える遠くの山は、白くて霞んでいる。
凍える手に息を吹きかけた時、「助けてー!」と声が聞こえた。上からだ。
見上げると足をバタバタさせた女の子が、グルングルンと宙を舞いながら、私の方へ向かってきた。
咄嗟に手を掴んで地上に降ろすと、彼女は言った。
「ありがとう。あの山の向こうから、意地悪な風に飛ばされたの」
「えっと(それはお気の毒に…?)、帰れるの?」
「風と喧嘩したの。ひどいの。謝りたくもない」
「風が悪いことをしたの?」
うーん、と女の子は俯いた。
「まだ、謝りたくないの。だけど、風は傷ついたかもしれない」
私は右手を突き出し、ぐるぐる回した。うまい具合に風が右拳に乗った。
「風は待ってくれているよ。そのうちに、謝った方がいい」
女の子は渋々頷き、ぴょんと跳ねた。途端に風は彼女をさらい、また山の方へ運んでいった。
ファンタジー
公開:26/01/11 21:10
自然と暮らす。
題材は身近なものが多いです。
112.風と初雪
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綿津実