俺知らず
0
1
私は生前、誰にも言わなかった秘密を抱えて死んだ。
そんな私が息絶えた直後、遺された身体に異変が起きた。それまでなかった四本の歯が、血色の悪くなった歯茎からにょきにょきと伸び始めたのだ。「俺知らず」とでも言おう。
それはただの歯ではなかった。火葬後も、骨壺の中ですくすくと成長を続けた。その表面に、生前握っていた秘密の告白がひとつひとつ、細かな文字で刻まれていく。
四十九日経つ頃には、歯は壺の蓋を押し上げていた。妻が恐る恐る壺を開ける。
「俺は……」と始まる告白が、家族全員の前で延々と続く。そして誰もが凍りついた。
私が墓まで持っていこうとした秘密とは、私自身のものではなく、私が集めた他人の「秘密のコレクション」だったからだ。
骨壺の前で繰り広げられる、暴露と疑心暗鬼の地獄絵図。
私はそれを、どこからか眺めている。
死人に口なし。しかし、歯は口ほどに物をいうものだ。
そんな私が息絶えた直後、遺された身体に異変が起きた。それまでなかった四本の歯が、血色の悪くなった歯茎からにょきにょきと伸び始めたのだ。「俺知らず」とでも言おう。
それはただの歯ではなかった。火葬後も、骨壺の中ですくすくと成長を続けた。その表面に、生前握っていた秘密の告白がひとつひとつ、細かな文字で刻まれていく。
四十九日経つ頃には、歯は壺の蓋を押し上げていた。妻が恐る恐る壺を開ける。
「俺は……」と始まる告白が、家族全員の前で延々と続く。そして誰もが凍りついた。
私が墓まで持っていこうとした秘密とは、私自身のものではなく、私が集めた他人の「秘密のコレクション」だったからだ。
骨壺の前で繰り広げられる、暴露と疑心暗鬼の地獄絵図。
私はそれを、どこからか眺めている。
死人に口なし。しかし、歯は口ほどに物をいうものだ。
その他
公開:26/01/11 21:00
更新:26/01/11 20:32
更新:26/01/11 20:32
最近ショートショートを始めた修行中のド素人です。
基本的にnoteにて投稿しております。
一部フォーマットのあったものをこちらでも投稿させて頂きたいです。
note→https://note.com/great_heron1630
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます