失敗供養

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その寺では、
年に一度
「失敗供養」が行われる。

参拝者は、
まだ起きていない失敗を
一つだけ受け取る。

紙に包まれているが、
中身は見てはいけない。
名前も、理由も書かれていない。

住職は言う。
「先に失敗を引き受けておくと、
 あとで軽く済みます」

多くの人は、
安心した顔で帰っていく。

私は、
何も起きていないはずなのに、
胸が少し重かった。

帰り道、
紙包みが
わずかに温かいことに気づく。

数日後、
仕事で小さな判断を誤った。
誰にも迷惑はかからなかった。
ただ、
ああ、これだ、と思った。

寺に戻ると、
供養箱はすでに空だった。

貼り紙だけが残っている。

「失敗は、
 思い出した時点で
 供養済みです」

私は、
それを
思い出してしまった。
その他
公開:26/01/11 13:43

問い屋

その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
問いの続きを、ここにまとめています。

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