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私にはいまだに許せない男がいる。鈴木だ。初対面からこいつとは合わないと思っていた。私より7、8歳上のような気がしていた。おそらく、19100歳ぐらいだろう。誕生日は知っている。6月19日だ。直接聞いたわけではない。他の同僚から聞いた。地球を離れて随分になる。「スポケーン」という名の宇宙船。私たちの家だ。悠久の時を彷徨っているうちに宇宙船の名前や同僚の名前を忘れることが多々ある。だが鈴木のことは絶対に忘れない。こいつには約1万年ぐらい、いや正確にはわからないが、嫌がらせを受けた。あまりにしつこいので労働局に電話しようと思った。が、電波が届かないどころか労働局などもはやなかった。何回転生したらこいつの嫌がらせから逃れることができるのだろうか。私は窓から宇宙の山々をずっと見続けた。
ファンタジー
公開:26/01/09 10:30
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佐古涼夏