0
2

その迷路は、高い壁で作られていた。
壁は分厚く、先を見通すことはできない。
僕は胸を高鳴らせながら、その入り口に踏み込んだ。

迷路の中には、いくつもの曲がり角や分かれ道があった。
この道の先は、どこへ繋がっているのだろう? ゴールには一体何があるんだろう?
僕の胸は期待に弾んだ。

しばらく歩いた次の曲がり角、僕はぬかるみに足を突っ込んだ。
その先は、大雨が降ったあとのような泥だらけの道が、どこまでも続いていた。
僕は慎重に進んだが、ついに足を滑らせてしまった。
すっかり疲れて動けなくなった。
僕は泥の中に身体を投げ出し、何もない空を眺めた。何もない時間が過ぎていく。

ふと、指先に何かが触れた。
本だった。子供の頃に何度も何度も読んだ本だ。
栞を挟んだページを読み終わった時、自分の頬が温かく濡れていることに気付いた。
何となく、また歩き出せる、そう思った。
僕は泥の中から立ち上がった。
その他
公開:26/01/04 12:00
更新:26/01/04 12:43

ととまとまと( 東京 )

文章を書く練習をしています。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容