ピアノ旅行

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 息を吸いこむ。爽やかな仔馬が草原を駆けだしてゆく。最初は数頭、数は増えて馬蹄が重なる。指揮者がふりおろす腕の動きと鍵盤にふれる指。若々しい緑、青い絵の具を垂らした空。

 メゾピアノ。鍵盤にふれるかふれないか優しい力加減。群れは湖の木陰でひとやすみ。
 クレッシェンド。湖の波紋がひろがる。輪郭をともなった湖水はくずれる。馬たちの軽快な水浴び。

 掌をひろげた和音。馬の背から白い羽がはえたペガサス。空に向かっていななき、宇宙空間へ飛びだした。
 無重力探検。大きな惑星の横を通り、ふたたび呼吸をそろえる。鍵盤を逃さない。合唱曲は終盤にさしかかる。

 ペガサスは太陽にむかって走る。だんだん遠ざかり、やがてちいさくなる。いつの間にか見えなくなった。

 鳴り響いた合唱はやみ、つかの間の静寂が訪れる。鍵盤にのせてどこへだっていける。届けよう、歌にあわせて。   

「自由な旅にでかけよう」
青春
公開:26/01/05 22:08

ナノハ( 東京都 )

はじめまして、ナノハと申します。
よろしくお願いいたします✨

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