始まり登録所

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元日の朝、
駅前に仮設の窓口が出ていた。

看板には
「始まり登録所」。

中に入ると、
大人たちが列を作っている。

係の人は、
一人ずつに紙を渡していた。

「今年の始まりを、
一つだけ登録してください」

紙には選択肢がある。

・大きな始まり
・小さな始まり
※迷った場合は未定

大人たちは、
去年と同じ場所で
去年と同じように悩んでいる。

大きすぎると失敗しそうで、
小さすぎると始まらなそうだ。

記入例が貼ってあった。

「とりあえず小さめ」
「様子を見て変更」

係の人が言う。

「始まりは、
あとから変更できます」

その言葉で、
列はきれいに並び直した。

昼過ぎ、
登録所は跡形もなく消え、
歩道に足跡だけが残っていた。

ぼくは、
これが遊びだと思って、
まねして一歩だけ前に出た。

足跡は、
大人と同じ向きを向いていた。
その他
公開:26/01/01 08:10

問い屋

その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
問いの続きを、ここにまとめています。

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