くらげまふら〜

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冬の帰宅ラッシュはアクアリウム。
人で溢れた地下鉄のホームに7匹、8匹…。

「可愛いね、それ」

沈黙が気まずくて、行き交う人々の首元で揺蕩うくらげまふら〜を目で数えていたら彼から話を振ってくれた。

「うん、お気に入り」

横目でちらと彼を見上げる。鼓動が速い。
彼が可愛いと言ったくらげまふら〜はここ数年根強い人気の不思議触感マフラー。私は高校の合格祝いで去年母に買ってもらった。次の冬まで待ちきれず時々クローゼットの奥を覗くと、ハンガーをくらげ仲間と認識しているのか暗闇でぽわんと浮かび触手を絡ませ遊んでいた。

「この子はカラージェリーフィッシュなの」

頑張って言葉を繋ぐ。くらげの種類の数だけくらげまふら〜の種類があり、個体差もある。この子は青く透明にぷるんと温かい。

「似合ってる、めっちゃ可愛い」

くらげに刺されてもいないのに微弱で甘い電流が全身に走った。揺れる触手がむず痒い。
公開:25/12/27 07:30
海月みたいに綺麗なマフラー 巻いてる人をみた

ネモフィラの旅人( 風の向くまま )

旅人なのでいたりいなかったりします

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