黒板に書いてはいけない授業

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黒板には白い文字がひとつだけあった。
――“この魔法は、実戦使用を推奨しない”。
誰も理由を聞かなかった。

残業していた俺は、気づけば異世界の魔法学園にいた。

「転生者ですね。最近多いです、会社員」

説明が雑すぎる。

入学初日、能力測定。
水晶に触れた瞬間、教室が静まる。

《適性:深層視》
「この魔法で発狂した生徒が三人います」
「え、なにそれ」
「物事の構造を深く見る魔法です」
「強い?」
「使い方次第です。空気は読めません」

必修科目は《本質解析》。派手な魔法は禁止らしい。

隣の勇者候補は、剣と炎で評価されていた。

「君は何が見えるの?」
俺は、答えなかった。

黒板には、次の課題だけが書かれていた。

――“この魔法は、実戦使用を推奨しない”

誰も、その理由を聞かなかった。
ファンタジー
公開:25/12/24 11:56

問い屋

読み終えたあと、小さな違和感が残る短編を書いています。
その余韻が続く作品は、noteにまとめています。

https://note.com/toiya_story

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